逃げるし恥だし役立たず

ラストエンペラーの逃げるし恥だし役立たずのレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
3.5
最後の皇帝である愛新覚羅 溥儀の人生をベルナルド・ベルトルッチが壮大かつ繊細な演出で再現した作品。大傑作。壮大なスケールと繊細なタッチを同時に演出しており美術館に来た様な感動に浸れる作品である。
溥儀にとって自由がない孤独な人生であった。清朝最後の皇帝として即位して以来、皇帝としても、日本の傀儡国家の皇帝として担ぎ出された時も、戦後の戦犯として共産党による更生教育を施された時でさえも、自身で決断が出来た事も無ければ、自由を謳歌できた事もない。歴史に翻弄され続けるのみの人生である。ある意味では最後に文化大革命で処罰される元所長も含めて全ての人間の人生は歴史にとって有象無象であり、歴史は人間にとって悲劇であり喜劇である。