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ラストエンペラーのあのレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
5.0
溥儀って名前は知ってるのに生涯全然知らないじゃんってまず思った。「纒足」「宦官」といったワードが現実になって迫ってくるのが面白かった。前半は溥儀自身が子供だったり外から来たジョンストンがいたりよくわからない世界を観察する感情移入できる存在がいてついて行けるし美術の作り込みも圧倒的だった。溥儀が紫禁城を出るシーンも素晴らしい。あんなに出たかったのに自分の意思で行動を決められない無力さが際立って音楽も相まって名シーンだった。この先はもう何にしても自分の意思では何も変わらないし、普通ではない育てられ方をした溥儀が絶望的だし、関東軍には人間的な感情は全くなくて怖いしとにかく歴史に揉まれた感じ。このあたり溥儀のキャラクターがよくわからないという感想を見たけど、わからない方が正しいと思った。さらに文革が来て中国の歴史の複雑さにまたぶち当たってもう何を思えばよいかわからんと思っているときに美しいラストシークエンス。子供の使い方が本当に上手い。史実からこの筋書きを作ったことを見返すだけでかなり脚本の勉強になりそうだと思った。戦犯の話を見ると昭和天皇がかなり特異な存在なんだなとわかる。色々と調べたい。
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