爆裂BOX

ディセント ザ・ダークサイドの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.4
父親の葬儀で墓に来たテッドとブラッドの兄弟は、突然墓の近くの地面が崩れ落ち、地底の洞窟に転落してしまう。壁の小さな穴をハンマーやドリルで拡げようとする彼らだが、「何か」の気配を感じ取り…というストーリー。
人跡未踏の洞窟を発見した兄弟がそこを探索するうち中に潜む怪物と遭遇するサスペンスホラーです。当然ながら「ディセント」とは何の関係もなく続編ではありません。元は2001年にネットで広まり有名になった都市伝説のようですね。
墓参りの途中、地面が崩れたことにより未知の洞窟を発見した兄弟は、奥に繋がる壁の小さな穴をドリルやハンマーで拡げて通ろうとするも、何者かの唸り声や気配を感じるようになるという内容です。
前半は主人公兄弟が洞窟の穴を何とか広げようと道具を集めて四苦八苦する様が描かれます。洞窟に入ってからは常に洞窟内で展開する「ディセント」と違って機材取りに戻ったり道具買い集めたり地上でのシーンが出てくるので勢いをそぐ形になりますし、常に閉塞感を感じる事もなくなっています。ただ、やっと人一人通れるくらいの大きさに穴を広げて兄テッドがそこを這い進んでいくシーンは、壁や天井にガリガリ身体こすってようよう進んでいきながら、身体がつっかえてパニックになったり、後半、閉所恐怖症気味の弟ブラッドがそこを通ろうとして挟まって身動き取れず、しかも発煙筒の火が消えそうになってパニックになるシーンは閉所恐怖症でもない自分でも結構息苦しさ感じたので、閉所恐怖症の人は見れない映像になってるかもしれませんね。この息苦しさと緊張感は本家に勝るとも劣らないかもしれません。恐怖のあまりテッドが吐いてしまう所もリアル。でも後半でも吐いてたな。穴を抜けた先にある洞窟の暗闇を進むシーンは暗所恐怖症の気があるので割と怖かった。遠景から頼りなげな懐中電灯持つテッドがぽつんと立つ姿映したシーン怖かったなぁ。逃げる途中で懐中電灯壊して闇に包まれるのも怖かった。
洞窟に詳しいオネエのおじさん店員を仲間に引き入れて、彼が奥に進んだ後謎の声が聞こえて帰ってきたおじさんが何も言わず血相変えて飛び出して帰っていくシーンは、得体のしれない不穏な気配感じさせてくれます。そのまま連絡がつかなくなり狂死し、主人公テッドも暗闇の中に潜む怪物の気配や幻覚見て恐怖に陥っていく所は、何でもない日常だったはずがドンドン恐怖に蝕まれていく感じを味わえました。
テッドは恋人を弟に寝取られて、それがきっかけで溝が生まれ疎遠になっており、この兄弟の確執と和解が作品のテーマの一つになっていますが、前半からそれほど仲悪いように見えないので殴り合いの喧嘩しだしたり和解する所も唐突さを感じてそのテーマの印象が弱く感じられました。挟まって悲鳴あげるテッドを「頑張れ!兄貴ならいける!」とブラッドが励ますシーンはスポ根物見てる気分になりました(笑)
地底人?怪物は終盤になって姿現しますが、泥にまみれた人間みたいな姿してますが、画面にはハッキリ映りません。モンスター要素はオマケ程度ですね。
ボケた伯父さんが洞窟に入ってしまい、兄弟が助けに向う終盤の展開は発煙筒の頼りない明かりで怪物たちを牽制しながら洞窟の中を進んで伯父さん助けようとしたり、最後のテッドの決断など個人的には楽しめました。
「ディセント」のようなモンスター物期待したら肩透かし喰らいますし、心理劇が中心の展開で中盤ダレる所もありますが、心理劇メインのサスペンスホラーとしてはシリアスに作ってあって悪くない作品でした。