KIYOKO

ウルフ・オブ・ウォールストリートのKIYOKOのレビュー・感想・評価

4.6
悪趣味全開のブラックコメディという部分で自分のツボだったので、面白くみれた。

自分が善人だと思っている人や道徳を重んずる人間はこの映画を見ない方がいいかもしれない。

人間の醜い部分がいっぱい見れるのはやっぱり面白い。
自分はお金がこの世で何よりも好きなので興味深く見れた。
人生勉強になることも多く、色々と教科書には書けないことを学べる映画でもある。

ジョーダンがこれだけ汚いやり方で稼いで、お縄になってもなお、セールストークの講座を開いて生きている。
という部分にスコセッシの得意とする「どうしようもない人間」を描くというフェチを感じる。

でも本当にどうしようもないのはジョーダンよりも、最後のセミナーに参加していた客の方と言いたげなのもまた味わい深い。

個人的には日常に溢れている営業も広告も一種の詐欺だと思ってるので、ジョーダンの行いというより、騙される方も悪いと思う部分がある。
だから「このペンを俺に売ってみろ」というジョーダンのセリフを受けて、セミナーの客席側が映ると皆冴えない発言や表情でボケーっとした顔が映っていく。

受け身で、無知で、頭の回転とセンスが悪い、搾取されるだけの人間たち。
まさにジョーダンみたいな連中に食われた側の人間たちだ。

ここにこの映画一番のブラックジョークを感じた。

この映画の主人公・ジョーダン・ベルフォートの実際の演説を見て見ると、ディカプリオがかなり本人を研究したんじゃないかと唸らされるくらい喋り方や立ち振る舞いが似ていた。

それだけにこの狂乱の男を演じ切る役者としての表現力に見せつけられた。

この辺りからディカプリオのジャック・ニコルソンみが強くなってきているのも見どころ。

映画の長さ的には間延びしてると言えばしてるけども、映画の中の人間たちの、熱狂している裏でジワジワFBIが近づいてきて、一気に締め上げられるという時間感覚が追体験できるのでこれはこれで演出が効いていて良い感じもした。
KIYOKO

KIYOKO