キャッチ30

ウルフ・オブ・ウォールストリートのキャッチ30のレビュー・感想・評価

3.8
 マーティン・スコセッシの『グッドフェローズ』や『カジノ』の変装曲と言える。マフィアの物語が経済界に置き換わった形だ。また、前2作よりもさらに過激だ。

 主人公はジョーダン・ベルフォートという実在の株式ブローカーだ。ジョーダンは証券会社を設立し、巧みな話術を駆使して富裕層相手にボロ株を売りつけ、50億円近い手数料を荒稼ぎする。ジョーダンの精力は桁違いだ。ドラッグやセックスに溺れ、乱痴気騒ぎを繰り返す。道徳者が見たら怪訝な表情を浮かべるだろう。やがて、彼の違法なビジネスと金遣いの荒さはFBIから目をつけられることになり、ジョーダンは破滅へと向かっていく……。

 ジョーダンを含め登場人物はモラルが欠如した人間が多い。ジョーダンの右腕であるドニーは金魚を食ってみせる。ジョーダンの最初の上司であるハンナは妙な呼吸をする。スコセッシはそんな彼等の愚行をブラック・コメディに撮る。ジョーダンの会社内はまさにジャングルそのものだ。

 俳優たちもたがが外れたような動きをする。ディカプリオが酩酊状態で車に乗り込もうとしたり人工呼吸する姿は何処か可笑しい。また、ロブ・ライナーやスパイク・ジョーンズ、ジョン・ファブローといった監督経験者を起用しているのも今作の特徴か。