ハマジン

ウルフ・オブ・ウォールストリートのハマジンのレビュー・感想・評価

-
最★高。
今見返すと、『アイリッシュマン』と鏡のように瓜二つの構造をした作品で、ほとんど本作の「鬱」ヴァージョンとすらいえる。破局の発端となるのが仲間の「謝ったら死ぬ病」なところも一緒。
全編を「第四の壁を破る」ようなナレーションが覆っているわけだけど、『アイリッシュマン』が遅すぎた「告解」の語りであるとすると、本作は胡散臭い「説教師」のそれである、という対称形になっていて、その間に遠藤周作原作の『沈黙』がはさまる、と考えると、「信仰」をめぐる三幅対として、スコセッシのキャリアにずいぶんすっきりとしたアウトラインが引けるような気がする。
それにしても、ディカプリオが170分の体当たり演技を積み重ねてやっとマコノヒーのたった10分弱の登場シーンとどうにか釣り合う、というのは何とも酷な話というか、この時期のマコノヒーはノリにノッてたとしか思えん……彼の鼻歌「ン~ンッ♪♪ン~ンッ♪♪」が通奏低音となって、以降の「高速観覧車」を回していくことになるわけで。
ハマジン

ハマジン