だた

泣き濡れた春の女よのだたのレビュー・感想・評価

泣き濡れた春の女よ(1933年製作の映画)
4.0
こちらも西部劇。80分弱の尺に収められていたら文句なく傑作だったと思う。初トーキーとはいえ、すごくいい音の使い方してるし、オフスクリーンへの意識の込め方も素晴らしい。特に健次が上官に殴られる店の場面の階段の撮り方が冴え渡ってる。

だからこそ終盤の展開もそういうふうに見せ切れる簡潔さを期待したかったが、とりわけ女性の描写が冗漫すぎて、折角の人物たちの繊細な気遣いが映えない。

全体的に後年の清水宏らしくない暗く情緒的な映画ではあるものの、ロードムービーや子供の文脈で語られがちな清水の多才さ、デクパージュの豊かさを証明する一本だと思う。窓や扉の使い方、雪ソリのロングショット、ディゾルヴの多用などのお得意芸はさすが。お浜の部屋の画面構成決闘シーンで屋根から滑り落ちる雪を忘れまい。
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