Ark

フィルスのArkのレビュー・感想・評価

フィルス(2013年製作の映画)
4.8
下品なヤク中アル中のクズ刑事の話。

最初はブルースのだらしないお下劣な生活に焦点を当てていて、後半はブルースが抱える心の闇にフォーカスしている。
コメディというジャンルになってるけどそれは最初だけで、他は陰鬱な感じになっている。
ヨーロッパ発の作品は映画もドラマもどこか暗く陰鬱な雰囲気を持つことが多いが、本作もその雰囲気がある。つまり好き。

ジェームズ・マカヴォイはやっぱり演技力がスゴい。演技が上手い人がこういう映画に出るとこうなるんだ…と思いながら観てた。笑えるシーンにもブルースの心の中にある孤独が滲み出ていてすごいなと。

下品なだけの意味の無いコメディ映画ではない。ブルースという人間を通して、人が持つ孤独感を見せてくれる。妻と娘に出ていかれ独りになり、支えてくれる人も頼れる人もおらず、酒とクスリとセックスで誤魔化しながら堕落していってしまった主人公の目には常に「孤独」があったように思う。
表面的にはコメディだけど、中身を見てみれば真に扱っているのは下ネタではなく、ひとりの人間のシリアスな内面の問題。

ジェイミー・ベルも好きなんだけどほぼ出番なかった(笑)ジェームズ・マカヴォイとジェイミー・ベルが同時に画面に映ると画面が麗しすぎて話が入ってこなかった。あと目の色がめっちゃ綺麗…。
他にもシンプルにジェームズ・マカヴォイの演技に見とれてしまって話が入ってこなかった。演技が上手い人の作品を見るとしばしばこういう現象が起こるのですよ。分かる人いるでしょ?
泣くシーンが3回ほどあったけど自然すぎてリアルで惹き込まれちゃった。本当に演技の上手い人っていうのは、やっぱりどれだけ自然に泣けるかじゃないかなと思ったりする。
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