彦次郎

ラスト・シャンハイの彦次郎のレビュー・感想・評価

ラスト・シャンハイ(2012年製作の映画)
3.6
純朴な少年ダーチーと幼馴染の少女ジーチウが成長し邂逅と別離を繰り返しながら日本軍と地下組織の抗争のもと運命に翻弄される歴史ドラマ。
犯罪組織の一員として成り上がっていくダーチーが用心棒として仕えるボスホンを演じるのがサモ・ハン・キンポー。お前強いだろ!とツッコミを入れたくなりますが本作ではやたらと風呂に浸かり愛人を巡って将軍の息子とトラブルになったのをダーチーに処理させるなどしている「大物」だったので問題ないといえましょう。
他の登場人物たちの裏切りと争いが目まぐるしいですがダーチーは自分なりの筋を通しているのが魅力的でした。妻アーバオの献身ぶりがジーチウよりヒロイン感もありますがそれだけダーチーがイイ男ともいえます。頭脳派と思いきや終盤での日本軍施設襲撃やマオとの決着は漢らしさ全開でした。
ナチス同様に戦前の日本軍は悪の組織としてフリー素材みたいな扱いになっていますが逆に歴史の観点からの面白さが加味されて犯罪成り上がりドラマというより歴史大河ドラマのような趣になっていたのは良かったです。また女性たちの悲哀も描かれているのもラストに繋がっていて印象的でした。
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