ボブおじさん

パッションのボブおじさんのレビュー・感想・評価

パッション(2012年製作の映画)
3.8
監督はヒッチコックの後継者の異名を持つ、サスペンスの巨匠ブライアン・デ・パルマ。数々のハリウッド大作を監督後、久しぶりのサスペンス映画に復活。

ダブル主演は「きみに読む物語」「アバウト・タイム」のレイチェル・マクアダムスと「セブン・シスターズ」「LAMB/ラム」のノオミ・ラパス。2人の実力派女優が美しく、艶やかで残酷な〝女と女の争い〟を極上の演技で火花を散らす。特に若い頃から清純派のイメージが強かったレイチェル・マクアダムスの初めて見る悪女ぶりには驚かされる。

巨匠監督が仕掛ける息をのむスリルとサスペンス。美しい化粧の下に潜む女の野心、欲望、嫉妬、愛憎が複雑に渦巻く世界へと観る者を誘う。スプリットスクリーンやカットバック、螺旋階段の俯瞰描写に鈍く光る鋭利な刃物など得意のデ・パルマ映像マジックも健在だ。ラスト二転三転するクライマックスの演出は手に汗握り、これぞデ・パルマと思わせる。