ノワール調になってからは一転して面白い。序盤は正直平淡で、退屈とも思ってたけど、クリスティーンとイザベルが不穏になってから一転。本性たるパワハラ上司を露にするクリスティーン、依存体質の人間に蝕まれるイザベラや、明らかに注目すべきキャラクターの言動と、ヒッチハイク愛に溢れる要素も含めて良かったです。
クリスティーンの言っていた“愛している”が本心でも(あととある発言がスゴくデ・パルマらしかった)、他者を喰らって生きることしか出来ない獣に見えちゃうし、イザベラもあるキャラに対して吐き捨てた暴言が無自覚な横暴さを感じて笑えてきましたね。
けど一番デ・パルマが掘り下げるの楽しんでたのカロリーネ・ヘルフルトさんが演じたダニでしょ。デ・パルマがこれまで扱ったモチーフの担い手で、探偵役、それていて叶わぬ恋を求める人。意外とデ・パルマエンタメとして終わるもんだと思っていたら、プラスアンソニー・ミンゲラのあの映画に通じるものを体現して焦燥する姿が切なかったです。