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いとしきエブリデイのkouのレビュー・感想・評価

いとしきエブリデイ(2012年製作の映画)
3.0
《家族の5年間》

マイケル・ウィンターボトム監督作品、父親のいない家族の5年間をドキュメンタリータッチで描いた作品。同じように年月をかけ、俳優も年をとる様子を描いた作品として「6歳のボクが、大人になるまで」が似ているが、この作品はかなりドキュメンタリー的、じわじわと感動が広がるような作品だった。

冒頭から映画の雰囲気に引き込まれる。子供たちの姿がとても自然で、本当にこんな家族がいるのではないかと錯覚するほど。自然なその様子を見ているだけでも面白い。これといって大きな事件が起こるわけではないが、それでも子供たちは物語が進むごとに成長していく。親が大好きでべったりだった子供たちがそれぞれ自我が目覚め、思春期に入る。背も顔もだんだん成長していく。そんな姿を見るだけでも感動がある。

映画として盛り上がりがあるわけではないが、家族としては多くのことが起こり、ドラマチックな5年が映されている。父親がいない家族が歩んできた重みある5年間を僕達が見た後のラストシーンがなんとも美しく、それでいて幸福感のあふれる様子にどうしても涙してしまう。家族が家族であること、当たり前ながら難しく、何よりも幸せな姿に泣いていた。優しく、そして温かく、振り返って良い映画だと噛みしめる作品だった。
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