仕事も家庭も充実しているはずなのに、妻といると息が詰まり、人生に虚しさを感じている歯科医のアラン。
そんな鬱屈とした日々の中で彼は大学時代のルームメイト、チャーリーと再会する。
しかしチャーリーは9.11テロによって家族を失い、アランのことが判らないほどの深い傷を心に負っていた。チャーリーは事故のショックから社会とは関わりを絶つ様な生活をし、ヘッドホンから流れる音楽と、ゲームの世界に心を閉ざしている。そんな二人を軸として描かれる再生の物語。
ストーリーはゆるりと流れるが、PTSDを抱えたチャーリーの様子は、アダム・サンドラーの演技が上手いのか、かなり見入ってしまう。自らの触れたくない過去に近づこうとする人へ爆発する彼の感情、そのコントロールの効かない様子は見ごたえがある。
チャーリーの心の傷を癒すという裏に、アランの心もまた満たされ癒されていく、この双方向性の関係が物語を優しくしていると思う。
心の傷を癒すのはセラピーや入院なのか、友人や恋人の存在なのか、それとも己自身なのか。この映画が言わんとすることは、いわゆる医療的な治療行為以外の存在の大切さだと思う。
孤独であったチャーリーがアランと再会することで、痛みを伴いながら癒されていく。アランもまたチャーリーと出会うことで自身の日々を変えることができる。ただその様子をあまり大仰にドラマチックにし過ぎないような、さりげない演出にしてるあたりがあたくしは好きでした。
余談ですが、サフロン・バロウズはブリブリの美人ですね。
