Yonda

her/世界でひとつの彼女のYondaのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
3.9
日曜の冒険や、ふたりで一緒に見た景色たち。恋なんて舞い上がって、ふたりだけの世界のもの。セオドアの表情から心からの安らぎと満たされていく様子が感じられた。だからこそ、現実世界の厳しさに胸が傷む。

いくら記憶が塗り替えられ、updateを繰り返されても、そこにはきっと誰も邪魔できない、介入できない領域がたしかにあると信じていたい。
それほどセオドアとサマンサの2人がお似合いでお互いに不可欠な存在であったように感じられた。

サマンサのあの知的さにユーモア、包容力、声だけでとてもチャーミングで魅力的なのがわかる。
それに悩み事がとても切ない。感情は人間だけが持つものだと思っていたから、こんなに苦しい思いをしているサマンサは本当にAIなの?と疑ってしまうほどだった。

代筆ライター、セオドアの手紙の良さに気づいてくれたクラウン出版の方、好き。
お手紙の返事も素敵だった。

"本としても 実によく編まれてます"

「まだ紙の本を出してる出版社よ」
ってセリフからテクノロジーが発達する世界では、そうか、紙の本はほとんどなくなっちゃうんだね。
と、急に寂しくなった。

今ある本、これまで読んできた本、これから手に取る本。
全部全部大切に読んでいこう。
沢山、紙と触れていようと思った。
Yonda

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