美月

her/世界でひとつの彼女の美月のネタバレレビュー・内容・結末

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます


すごく面白かったです(*´ー`*)
興奮したとか感動したとかはないんですが、めちゃめちゃ色んなものが刺激されました。

SFなんだけどSFじゃない…。
近い未来に実際起こりえそうな世界観。

この映画を観ると、友だちや恋人が人工知能っていう冗談のような話もそう遠くない未来に現実として起こり得そうな気がしてきます。


ただその未来が良いのか悪いのかは考えもの。

映画を観ていてゾッとしたポイントがあって。
終盤に出てくるアラン・ワッツなのですが、彼はOSの団体が生前に彼が書いた全著作と解説をOSに詰め込んで勝手にバージョンアップした存在です。

サマンサはセオドアに合わせて一からつくられた存在ですが、このアランは数十年前に実際に生きていた人物のデータをもとにしてつくられた人工知能なのです。

恐ろしい話だと思いませんか?
自分の身近な人が亡くなった時、その人の声で、その人の思考で自分に語りかけてくる存在があったら。例えそれが人工知能だと、本人じゃないと分かっていても縋ってしまう気がするんです。

そしてこのくらいの技術は自分が生きている間に実際にできてしまうんじゃないかとも思うんですよね。
映画『ハリーポッター』で撮った写真が魔法で動いて、被写体となった人物は死後も写真の中で生き続けるという描写がありましたが、同じようなことが魔法ではなく科学の力で実現するかもしれないと思うと、夢があると思うのですが同じくらいゾッとします。




映画のストーリーは、ラストが気に入らないというか、諸々綺麗に収めたなぁという印象。
元カノのキャサリンとの別れが伏線だったってことですよね?

お互い影響しあって成長してきたけど、片方がひとりで成長していくことがもう片方の不安を煽った、というセオドアとキャサリンの破局の構図は男女逆転してセオドアとサマンサの別れの原因と同じなわけで。

結局のところ、人工知能であるサマンサの一番の喜びは知的欲求を満たすことだったんですよね。
恋愛の経験から、より人間に近い喜怒哀楽が自分の中に育つことが何よりの喜びで、その喜びを与えてくれるなら相手はセオドアじゃなくても良かった。知的欲求がセオドアでは収まりつかなくなってしまった。
私はサマンサをそう解釈しました。

そしてキャサリンの時とは打って変わり、今度は自分が相手の成長についていけなくなる番になったセオドアは
「キャサリンごめんあの時の自分が間違ってた」的な手紙をキャサリンに送る…、みたいなラストだったと思うのですが。

それにしたって何でエイミーと屋上に…?
セオドアがやけに真っ白のカッターシャツを着てたから、てっきり飛び降りるのかと無駄にドキドキしました。




演出も面白かった。
セオドアが嫉妬するシーンでやかんのお湯が沸騰していたり、セリフで表現されていないところがベタに表現されていて私好みでした。
洋画はこれくらいベタな演出の方が嬉しい。助かります。

映像の色味も素敵で私好み。



支離滅裂なレビューですが、こんなに書きたいことがいっぱいある映画って初めてです\(^^)/

自分はこういう映画が好きだったんだ、と新しい発見でした。
美月

美月