MikiMickle

her/世界でひとつの彼女のMikiMickleのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
3.9
近い未来のロサンゼルス
幼少から長年連れ添ってきた妻との離婚調停で落ち込むセオドアは、あまり人とも話さず、会話をするのはSiriのようなソフト。そして、音声チャットで悲しみをまぎらわせるくらい。
そんな時、最新の人口知能を備えたOSを手にし、人口知能AIのサマンサと会話するようになる。

サマンサと話をしていく過程で、
人口知能とわかっていながらも人間的な質問をしたり、笑わされたり、慰められたり、様々な事を共有していくうちに、
その気持ちが愛へと変わっていく……


二人(人間と人口知能)の、あり得ない恋愛・特殊な設定でありながら、
その過程は人間同士の恋愛と全く同じであり、恋愛というもの、恋愛の楽しさや悲しみや嫉妬、誰かを愛する事、それによる人生への希望、を描いていると思います。

観ているこちら側も、セオドアと同じくサマンサが人間だという錯覚におちいるのです。そして、サマンサの感情も、人口知能でありながらもひしひしと伝わってくるのです。最新の人口知能だからうまくセオドアにあわせているのかと思えばそれまでて、でも、そうではないのだと思ってしまいます。


この作品は本年度アカデミー脚本賞を受賞。間違いなく、スパイク・ジョーンズ監督の最高傑作だと思います。

アートワークも可愛らしく、ファッションも昔のファッションがひとまわりして流行している的なリアルさもあり、それが余計にこの作品をあり得る未来として感じさせもします。

サマンサ役のスカーレット・ヨハンソンの声のみの演技も、セオドア扮するホアキン・フェニックスの表情も素晴らしい。
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