Mochizuki

her/世界でひとつの彼女のMochizukiのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.0
近未来のアメリカを舞台に
生身のおっさんセオドアが、人工知能のOSサマンサと恋愛するストーリー。

ほかにも登場人物が出てくるけれど、一応おっさんと人工知能の浮世話に話題を絞る。

はてさて、この映画を見て拒絶や嫌悪感のようなものを感じる人もいるかも知れない。

人間というものは通常【心+身体】がひとつでセット。
愛というものが、相手の幸福や成長を願う気持ちと捉えると
人工知能と人間の恋愛が果たしてどう成立するのだろうか。

人間が死すべき存在であり、その脆弱性(生・老・死・苦)と常に隣り合わせである。
古代ギリシア以降の伝統的思想では、生きていることは、すなわち肉体という牢獄のなかに魂や精神が閉じ込められていることを指していた。

それゆえ主人公のおっさんは戸惑った。
自分は人工知能サマンサちゃんに恋をしているのに
サマンサちゃんときたら「私には実体がないの」と身も蓋もないことをいう。

ただこんなストーリーが現実のものとなる日もそう遠くはない。
人間はスマートフォンを握りしめ、実体があるのかないのかよくわからないものを
消費し追い求めている。

人工知能の発達によってもそうだし、
これまで禁止されてきたクローン人間製造技術の解放や生殖補助技術や遺伝子改造技術などの発展は、これまで人間という「人と人の間」の存在間で行われていた営みに再考を迫るだろう。

人工知能サマンサはおっさんの言葉をすぐに理解し、おもしろいジョークを飛ばし、
彼の好みの女性へと学習により成長する。とどまる所を知らない。
人間はそんな彼女とどう向き合うとよいのだろうか…

とても考えさせられる映画でとってもおすすめ☺️
Mochizuki

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