このレビューはネタバレを含みます
劇場で5回も観てしまったのはこの作品が最初。
初めて見たときは、
「ほむらを悪者に仕立て上げるような終わり方にする必要はあったのだろうか?」
と、劇場を出た後もかなり引きずってしまった。
しかし、数回観て考えを改めた。
今作においてほむらの立ち位置は「ダークナイト」のバットマンなのだ。
ほむらは実際、今回の判断に最後まで悩んでいたのだ。
それを決意するきっかけを作ったのは他でもない、鹿目まどかなのだ。
「ほむらちゃんでさえ泣いちゃう様なこと、
私が堪えられる分けないじゃない」
それまで「まどかが望んだ世界なら…」という思い出辛うじて堪えていたほむらだったが、
その一言を聞いて、それまでの自分の浅はかさ(ほむら視点から見て)に気付いてしまったのだ。
偽物の街のまどかは、自身が神に等しい存在であることを忘れている。
故に、自らの現状を聞いて出てくるのは、本当のまどかの気持ちだったのだ。
それを聞いたほむらは、
まどかの為に生きていたほむらは、
まどかの為に「叛逆」をしたのだ。
「そう、それなら、貴方は私の敵になるのかもしれないわね」
そう呟くほむらの目には、涙が溜まっていた。
既に遠い昔となった、まどかたちとの楽しい日常に思いを馳せて
彼女にとっては「まどかの居ない現実」こそが「ナイトメア」だったのだろう。
テレビ版が「バッドエンドに近いハッピーエンド」だとしたら、今回は「ハッピーエンドっぽく収めたバッドエンド」と言った所だろうか。
ほむらのことを考えに考え抜いた名作だと感じられる。
脚本家の本気に、自分は脱帽するしかなかった。
ストーリーに限らず、アニメーションの出来も素晴らしい。
静止した世界で弾丸を打ち合うマミとほむらにはまどマギ史上最高に興奮したし、ダンシング変身バンクも良かった。
画で嫌厭せずに観てくれる人が増えることを祈る。