さわら

もらとりあむタマ子のさわらのレビュー・感想・評価

もらとりあむタマ子(2013年製作の映画)
3.5
とにかく腹が減る映画だ。ロールキャベツから始まり、サンマや年越し蕎麦、そしてスイカやゴーヤチャンプルやバニラバー(すごく懐かしい‼︎)、とにかく食らう食らう。そうか、季節変われどだらだらモラトリアムに生きようと、人間はみな腹が減るもんなんだ。「食欲こそ“生”の根源である」というのも過言ではない。映画を見ながら、そんなことを考えていた(鑑賞後ラーメン屋に駆け込んだのは言うまでもない)。観る前は前田敦子のアイドル映画かと一抹の不安があったが、それは杞憂に終わる。AKB時代は好かないタイプの女性だった(まぁこれといった理由はないのだけれど)。しかし週刊誌の泥酔スキャンダルで親近感が湧き、今作で女優として少し興味が出てきた。不機嫌顔でいて嫌味を感じさせない、いい女優だと思う。それにしても、この映画は自堕落な主人公ばかりに目がいってしまうが、父も相当厄介者だ。昨今の子離れできない父ではないけれど、見るからに威厳はなく情けない。厳格な父(少し誇張)に育てられた自分には、少し信じられない展開が続いた。それでも全体的に見て、落ち着く和やかな映画であったのは間違いない。見て損はない良作であろう。