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もらとりあむタマ子の&yのレビュー・感想・評価

もらとりあむタマ子(2013年製作の映画)
3.7
【2013/12/4:新宿武蔵野館】「ダメなのは 日本じゃなくて おめぇだよ」と思わず七五調でツッコミたくなる序盤からすでに前田さんの魅力全開。彼女、カメラに可愛く収まろうとする気が一切ないのが凄い。ほぼ子どもの頃から自らの「可愛さ」「少女性」を切り売りする仕事をし、その頂点に立った人とは思えぬ、前田さんの顔映画。もちろん山下監督の演出手腕あってこそだけど、当て書きしたくらいだから演出というよりは彼女の持つ「ブスさ」「おっさん性」を見抜いたのだろう。「魅了される」ってこういうことだな。
お父さん、写真屋男子とその彼女など、脇と呼ぶには濃厚すぎるキャスティングも最高。灯油じゃんけんは揺るぎないふたりの関係性が垣間見えて良い安定剤になってたし、中学生とタマ子の関係がだんだん変わってく感じもリアル。富田靖子とのシーンは会話劇としても素晴らしい。確かにあのお父さんならパセリ乗せるわ。うん。
のほほんと観ても楽しめるけど、時計(=時間の経過を示すもの)を過剰に嫌がったり、履歴書のコメント、駅で泣く同級生、札を「営業中」に変えるなど、ドキッとするシーンがちゃんとあって、それらを踏まえてタマ子が成長の・ようなものを遂げていくさまは気高さすら感じる。そうか、もらとりあむって人生のヴァカンスなんだな。
全っ然違うけど、ちょっとホン・サンスの映画を想起した。ダメ人間ばっか出てきて、何も起こらないからこそ目が離せない感覚。星野源の曲も良くて、すっかり気分良くなったのにー…、わたしもあのラスト要らん派。
鑑賞後、タマ子がありつけなかった「に、く、…」=ハンバーグが食べたくなった。
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