kkkのk太郎

くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密のkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

発明家の卵フリントが引き起こす大騒動を描いたSFコメディアニメ『くもりときどきミートボール』(2009)の続編。

舞台は前作の直後。フリントの憧れる発明家、チェスターVが島に溢れかえる食べ物を撤去するためにスワロー・フォールズへとやってくる。チェスターはフリントの才能を認め、彼を自分の会社”リブコー”へとスカウトするのだが、その裏には大いなる陰謀があった…。

フィル&ミラーが監督/脚本から降りてしまったシリーズ2作目。やはりというべきか、映画としての面白さはグッと低下。
前作に込められていたテーマやメッセージは消え失せ、ただの可愛いキャラもの映画に成り下がってしまった…🤦

気になったのはヒロインであるサムの容姿。男性ウケするファッションを辞め、メガネ&ひっつめ髪という自分らしさを受け入れた彼女。パンパンに腫れた顔での愛の告白など、彼女の存在により明確なアンチルッキズムを打ち出していた前作だったが、今作ではそこはスルー。メガネ女子というのはそのままだが、髪型がおしゃれなポニーテールになっておりダサさが消えてしまっている。
アニメのヒロインらしい見た目になったのだが、それって前作での”他人の目を気にしない”という彼女の着地点から考えるとなんかおかしくないか?観客受けする容姿に変えちゃったら前作のメッセージはなんだったんだ、ということになるのではないだろうか。

科学技術を私利私欲のために用いる公権力の悍ましさも本作ではオミット。代わりにいかにもザ・悪役って感じのマッドサイエンティストなCEOが登場。わかりやすい勧善懲悪の映画になってしまった。
このチェスターのキャラクター描写が非常に薄っぺらく、面白みがなかったことは大きな問題だと思う。何がしたかったんだコイツ…?
世界最高の発明家の筈なのだが、結局このオッさんが作った最大の発明品ってカロリーメイトみたいなバー食品なの?ショボくないっすかね…。

ギャグの面白さが弱まってしまったことも気になるが、それより何よりとにかく脚本が弱い。
今回は「友情」をテーマにしたかったのだろう。いじめっ子といじめられっ子、過去の確執を乗り越え友情を築くことは出来るのか、みたいな問題提起がなされていたのだが、結局これが解決されたのかどうかはぶっちゃけよくわからん。というか、1作目でフリントとブレントは既に友達になっているのだから今更こんな問題提起したところでなんか意味があるのか?
フリントとサムの諍いも、それ自体になんのドラマも生み出してなかったし…。ほんと、今回のお話は何がやりたかったんだか。

そして一番の問題は、結局スワロー・フォールズの食べ物問題にはなんの解決も齎されていないということ。
故郷を奪われた人々からしてみれば「フードアニマルの生態系とかどうでもいいから家に帰らせてくれっ!」って思うだろう。そこを無視して「命は大事!自然を守ろう!」とか言われてもハァ?て感じになっちゃう。監督は『もののけ姫』(1997)でも観て勉強しろっ!!

とはいえ、95分と時間が短くて観やすいし、画面はなかなか華やかだしで、そこまで退屈するような映画ではない。
主題歌がポール・マッカートニーだったのはGOOD!ポールの歌が聴けただけで割と満足してしまっていたりする♪

1作目と比較すると駄作だが、この作品単体として考えればそこまでボロクソに言うほどでもないのかも知れない。
それでもやっぱりこの物語は蛇足だとは思うけどね。
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