巨匠と呼ばれる映画監督と女優の間ではぐくまれた痛いほどの絆。恋愛からはじまり、深い愛情へと変わり、時に激しい憎しみとなり、そしてかけがえのない、友情という言葉ではおさまりきらないほどの人間同士の強いつながりへと転じていく。
二人の関係を、二人が作った映画を挿入しつつ映し出していく。映画と、作り手の実体験がこんなにシンクロするものなのかと胸を衝かれた。
リヴの言葉の中に、何度も「セキュリティ」という言葉が使われている。イングマールと一緒にいることで互いに得られる安心感や自信。巨匠でも名女優でも、やっぱり内心は、とても孤独で不安なのだと知らされる。
実在の人物の話なのに、とてもドラマティックでロマンティックだ。
イングマールからリヴに贈られる賛辞や愛情表現がとても素敵だ。「きみは僕のストラディバリウスだ」なんて、尊敬する監督から言われたら、女優は天にも昇る気持ちになるのは当然だ。
そして、リヴへのラブレターにイングマールが書いた猫やハートのゆるーいイラストにときめいた。アラフィフ男性がラブレターにこんなイラストを描くなんて!二人で書いたという日記も素敵だ。子どものような二人がほほえましい。
極めつけがくまちゃん!あまりにも素敵すぎて、こんな現実を生きている人たちがいることに感動した。