カポERROR

ロスト・ボディのカポERRORのネタバレレビュー・内容・結末

ロスト・ボディ(2012年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

*WARNING:重大なネタバレ記載あり。
 本作未見の方は鑑賞後の閲覧を推奨。

以前『インビジブル・ゲスト』のレビューで書いた通り、私は自他共に認めるオリオル・パウロ監督の熱烈な信者、いわゆるパウラーである。
オリオル・パウロに請われれば、靴舐めも辞さない。
そんなパウラーの私が愛してやまない本作『ロスト・ボディ』は、『インビジブル・ゲスト』に引けを取らない、これまた珠玉のどんでん返し作品である。
いや、登場人物の”復讐心の熱量”だけで言えば、『インビジブル・ゲスト』をも凌駕するかもしれない。
そう、奇しくもこの両作品とも隠されたテーマが”愛する家族を殺された者が、緻密な計画により、仇敵を地獄へ突き落とす復讐劇”となっている。
中でも、本作『ロスト・ボディ』に登場するハイネ警部と娘のエヴァの復讐方法たるや、もはや道徳の授業で先生が乱交パーティをおっ始めるくらい人外の所業なのだ。
何せ、父親は、妻を殺したひき逃げ犯アレックスへの復讐の為に、事件から10年後、成人した娘を犯人に近付かせ、彼と恋仲になるよう仕向けるのだ。
娘も、母親殺しの犯人に身体を捧げて、まんまと恋人になるのである。
…貴方は殺したい程憎い敵を貶める策略のために、最愛の娘をその外道に差し出せるか?
またその娘の立場でも、母殺しの犯人を相手に、策略とはいえ、自ら身体を許して肉体関係を持てるか?
私なら断じて無理!
娘の身体を差し出すくらいなら、私が率先して尻を差し出す。(いやそれはどんな復讐計画なのか。)
これはもはや、キム・ギドク監督の『嘆きのピエタ』の母・ミソンをも超える究極の執念と言えよう。
まこと、げに恐ろしきは親子の執念である。
実は私もシチュエーションこそ全く異なるが、ある女性の執念に肝を冷やした思い出がある。
それは、本作に負けず劣らずのホラー体験だった…

✤✤✤

私は大学時代、某レンタルビデオショップで4年間アルバイトをしていた。
シフトは主に深夜帯である。
ある年の瀬の深夜1:00過ぎ、店にいきなりセーラー服姿の女子高生が現れて、店内が騒然となったことがある。
最初はコスプレイヤーかとも思ったが、バイトの先輩が「近くの私立高校の制服なので本物の女子高生だ」…とマニアックな性癖を隠そうともせず教えてくれた。
その娘の風貌はと言うと・・・女性お笑いコンビのハリセンボンの細い⽅を思い浮かべて欲しい。
彼⼥は店内を周回後、ビデオテープを5本抱えてカウンターの私の所にやってきた。
私は、場違いな客を前に戸惑いながら会員証とテープを受け取り、おずおずとスキャナでバーコードを読み取る。
すると…
「ピーピーピー!!!」
けたたましいアラーム⾳が店内に響き渡った。
何事かとテープを確認してすぐに合点がいった。
彼女が持ってきたテープはアダルトビデオだったのだ…それも5本全て。
彼⼥の会員データが18歳未満だった為、ポスシステムが警報を発報したのだ。
私が彼女に18歳未満貸出禁⽌品である旨を丁寧に説明すると、彼⼥はすぐに帰っていった。
その時は「変わった娘もいるもんだ」と思った程度。
だが…少⼥は翌⽇も同じ時間に現れ、また前⽇同様AV 5本をカウンタに持ってきた。
その翌⽇も、更にその次の日も…。
終いには店⻑が警察を呼ぶと警告するはめに。
だが、それを最期に彼女はパタリと店に来なくなった。

そうして…そんな出来事もすっかり忘れた翌年の春休みのある⽇、深夜0時過ぎ。
突然、あの娘がまた店に現れたのだ。
しばらくすると、以前同様また5本のAVをカウンターの私のもとに運んできた。
私はため息をついて、彼⼥に⼩⾔を言おうと⼝を開きかけたのだが…。
「あれ?」
何故かバーコードをスキャンしてもアラームが鳴らない。
私は端末の故障かと思い、画⾯のデータを凝視した。
そして、彼⼥の⽣年⽉⽇の欄に目が⽌まった…

  彼⼥は、数分前に18歳の誕⽣⽇を
  迎えていた。

⾯⾷らった私は、恐る恐る彼⼥の顔に目をやった。
彼⼥は無表情のまま、私の眼を覗き込むように上目遣いで顔を近づけてこう呟いた。

  「…やっと借りれた…
   …これで…パパと一緒…
   …パパと一緒…」

そして口角を少しだけ上げ、禍々しい笑みを浮かべて、ふふふと笑ったのだ。
「…ひ、ひ、ひぃぃぃぃーーーっ!!!」
正直に告白しよう。
私は幼稚園以来、15年振りに人前で失禁した。

✤✤✤

そんな胸熱復讐劇を堪能出来る『ロスト・ボディ』だが、巷の評価は『インビジブル・ゲスト』には届かずといった感じで、少々残念である。
 は?お前の評価も『インビジブル・
 ゲスト』の方が0.1pt上だろ?
よく気付かれた。
それには別の理由がある。
それは、私が以前も申し上げた通り、熟女フリークだからに他ならない。
 は?『ロスト・ボディ』にもマイカが
 出てるだろ?
チッチッチッ、あんなの私から見たら幼女のようなものだ。
そう、60歳以上がストライクゾーン…つまり『インビジブル・ゲスト』のグッドマンこそが至高!!!
もし私に復讐を目論む方は、是非娘さんではなく、お母様かお祖母様でハニートラップを掛けて頂きたい。
オリオル・パウロが放つ至高のどんでん返しホラー・ミステリー『ロスト・ボディ』は現在U-NEXT、FOD、Huluで配信中。
カポERROR

カポERROR