プペ

ロスト・ボディのプペのレビュー・感想・評価

ロスト・ボディ(2012年製作の映画)
5.0
見事が過ぎる、“見ること“の画面によって進行していくミステリーは、最後に驚くべき事実を提示した瞬間分節化され、“読むこと“へと萎んでいく。

“説明責任“を果たすことによって、驚きを分節化させ、運動を即死させることの典型をここに見ることができる。
そんな本作、『ロスト・アイズ』の脚本を手がけたオリオル・パウロが脚本と監督を務めるスペイン産の最高傑作スリラーを再鑑賞。


死体消失という謎から始まり、スリラーとして展開し、ラストには強烈などんでん返しが待っている。

奇妙な出来事が続き、主人公アレックスは、妻マイカが生きているのではないかと疑い始める。
疑心暗鬼に陥るアレックスの心理が恐ろしく、犯罪を暴こうとする警察との攻防がスリリング。
観客もアレックスと同様に様々なことを疑うが、謎が謎を呼び最後まで緊張感は途切れない。

無駄のないスマートな演出と進行、気が抜けない展開の連続で気がつけば緊張から肩に力が入る。
派手なスプラッターシーンはなく、キャストも地味だが十分に楽しめるこの極上すぎるサスペンスは、映画という娯楽の極みのようであり、「いい映画を観たな」という率直な満足感に満たされた。



秋深まる深夜、この余りにも素晴らしく余りにも悲しい映画を観終え、清々しく床に就く。
しかし、余韻は興奮へと変わり、この映画をレビューしている方々の文字を摘み取ろうと意を決した私はスマホに手を伸ばす。

なるほど
なるほど…

酷評文には中指を立て、
愛感じる文には優しくキスを落とした。
プペ

プペ