くまちゃん

エクスペンダブルズ3 ワールドミッションのくまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

アクション映画?否、これはオールスターキャストによるお祭り映画である。
激渋おじさんが飲酒しながらどんちゃか踊っているかのような、こんなに楽しいのになぜか泣けてくる。これが消耗品軍団の力なのか…

前作はヴァン・ダムやノリスやアドキンス等の低予算筋肉野郎たちがノリで集結したような映画だったのに対し、今作は正真正銘、ジャンルに捕らわれないスターの共演である。

敵のボスがエクスペンダブルズの初期メンバーであり、スタローンが殺したはずの漢。これだけでも熱すぎるのに、演じるのがメル・ギブソンとは。
熱すぎるし顔が濃すぎる。
捕縛されながらの悪態やでかすぎる態度、殺人的な威力を持つ鋭い眼光、一挙一動がメル・ギブソンのカリスマ性に説得力を持たせている。

今作にブルース・ウィリスは参加していない。ギャラで揉めたからだ。
スターが降板するとその後任探しは難航する。誰もがそのキャスティングの行方を見守っていた。
そして登場のハリソン・フォード。
いや、偉い。この映画はアクション映画への愛と、スタローンの映画人生が何十年と紡がれた結果だ。

スタローン、ギブソン、フォード。同時代を生きてきた英雄たちの饗宴。

さらに仲間には出所ホヤホヤのウェズリー・スナイプスと若かりし日に色気を置いてきたアントニオ・バンデラスが加わる。
両者ともスタローンと共演している。
(「デモリションマン」「暗殺者」)
スナイプスの脱税ネタも◎

今作では若手と老兵の対比、そして協力が荒々しく描かれているが、アクション映画界も世代交代の時が迫っているということなのか?
いや、
今どきな理知的な部分と無鉄砲さが過信へと直結するガキども。
頭脳では劣るが全て筋肉と銃火器と経験で捻じ伏せるおっさんども。
まだまだ世代交代の日は遠そうだ。

ジェット・リーは体調のためか出番が少なく、なぜかシュワルツェネッガーとのカップリングが成立している。
前作までを見るとドルフ・ラングレンとのカップリングを期待していた観客が多かったのてはないか。そこだけが唯一残念である。
スタローンとステイサムは安定のブロマンスぶりで観客の心までがほっこりさせられる。

シリーズ通してずっと楽しく興奮し面白い。それなのに何も覚えていないのは内容がどれも同じだからなのか、純粋に思考停止状態でも観れてしまえるほど娯楽性に富んでいるからなのか、おそらく両方だろう。
古き良き時代の筋肉映画を新時代に蘇らせたマッスルクリエイター、シルヴェスター・スタローンには感謝しかない。
くまちゃん

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