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赤線本牧チャブヤの女のnonameのレビュー・感想・評価

赤線本牧チャブヤの女(1975年製作の映画)
4.0
本牧チャブ屋街を映像化した作品は数少ないので貴重な一作。
戦前のお話なので正確には赤線ではないです。
登場人物のセリフにもあるように、江戸時代から続く公娼街、即ち遊郭とは一線を画していて、西洋建築に主な客層はマドロスなどの外国人、厳しい規律もなかったようです。
そういう意味では戦後の特飲店に近い形態だったのかもしれません。
舞台となるローズホテルは架空だと思いますが、そもそもチャブ屋に関する資料があまり残っていないのでどこまで史実に近いのかはっきりとは分かりません。
実在のチャブ屋にキヨホテル、ニューヨークホテル、スターホテルなどがあったことは分かっています。
チャブ屋の他にもストリップバーと芸妓茶屋をミックスしたようなチョンキナ屋、脱走犯が身を隠していたボーレンに、果ては阿片窟まで、当時の横浜はだいぶ荒れていたようです。
横浜大空襲で壊滅し、1951年になってからチャブ屋のオーナーたちが再集合して少し離れた場所に復活させました。
復活後のチャブ屋街の看板には、戦闘機のノーズアートのようなピンナップガールがあしらわれていたりと、進駐軍向けのアメリカンな赤線(青線?)地区に変貌していたようです。
これを書いている今はまだDVDを3000円以下で売っているところもありますが、出荷は終了していて市場にある分で終わりっぽいので、買う予定のある人はプレ値がつく前に買っておくといいんじゃないでしょうか。
今後再販されるのか、Blu-rayは出るのか、配信されるのか、などは現時点で不明です。
当作品とは関係ありませんが、谷崎潤一郎原作、1924年日活製作の「本牧夜話」には戦前のチャブ屋街が写されている可能性が高く、フィルムが現存していないようなので叶わないでしょうが一度観てみたい。
1937年松竹「恋も忘れて」も外観ぐらいはロケしてほしかったですが、全セットでしたね。
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