Eike

エビデンス-全滅-のEikeのレビュー・感想・評価

エビデンス-全滅-(2013年製作の映画)
3.2
ホラーのカテゴリで扱われている作品ですが、どちらかと言えばミステリーに分類する方が相応しい作品かな。

ラス・ベガス行のバスが、荒地で横転。
警察が駆けつけると乗客たちの遺体が散乱...その現場に残された遺留品や生存者の証言から異常な事の成り行きが発覚します。
刑事のリース(スティーブン・モイヤー)とバーケス(ラーダ・ミッチェル)は科学捜査部で回収したビデオカメラやスマホ等のデータ検証を進めて行きます。
そして残されていた映像から恐るべき殺人者の姿が浮かび上がってくるのですが、事件はまだ終わってなかった...。

これまたファウンド・フッテージ型のサスペンス映画ですが、主舞台が警察の科学捜査班という所に工夫があります。
回収された(という設定の)映像をだらだらと見せるのではなく、捜査官たちの指示によってぼけた画像の鮮明化や傷ついた部分の修復などが解説入りでテンポよく進められるのでストレスなく集中できる造り。
映像の解析で得られた手がかりによって捜査が進展して行く様なども手際よく見せるなどサスペンスの生みだし方も手堅い。
捜査官たちが見ている映像は観客と同じという設定な訳で、見る側が突っ込みたくなるポイントを刑事さんたちが謎解きをしてくれる面もあってこの手のジャンル作の中ではアイデアも盛り込まれた設定と言えます。
加えて主役のモイヤー氏(トゥルー・ブラッド)やミッチェル女史(エンド・オブ・ホワイトハウス)がそれなりに実績と実力のある面子なので演技にも安定感があります。
ホラー要素としては直接的なグロ描写はそれほど出て来ませんがガス溶断器を振りかざしてのっそりと襲い来る重装備の犯人像が異色でユーモアも感じさせてこちらも悪くないです。

突っ込みたくなる点はもちろんあります。
映画の中心となるビデオ映像は事件に巻き込まれて生き残った女優志望のリーンのドキュメントを作成する目的で彼女の友人レイチェルが回していたビデオに録画されていたという設定で、これはまぁ納得できます。
一方でそれ以外の登場人物たちが次々に血祭りに上げられる状況なのに揃ってスマホでビデオを撮っているというのはちょっと無理があるのでは...。
等と無粋な事を考えなければテンポも良いので楽しめる(94分と手ごろ)と思います。
ただし、犯人の正体とその意外な(?)動機に関して、このオチは好き嫌いが分かれそうですが。
2014年公開から8年経った現在ならすんなり受け入れられるのかも。
アメリカのB級映画らしさが感じられるという意味で嫌いじゃないですね。
Eike

Eike