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インターステラーのchsyのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.5
レビューの中である程度SFや宇宙の知 識がなければ本当の面白さは分からない、というような意見が多く、その点まったく無知の私は、自分に理解できるのかな?と半信半疑で見始め た。

結果は、まあ大丈夫でした・・・心配に は及ばなかった。
恐らく製作者が苦労したであろう専門的 な部分は分かっていないかも知れないが、それでも十分楽しめた(と思う)。ストーリー自体はいたってシンプルで安心して鑑賞できる。

SF映画あるあるの地球(人)=アメリ カ(人)設定に違和感はあるものの、
砂漠化、疫病、砂嵐や害虫と地球の衰退 がリアルに描かれていて恐怖を感じた。

人間が古代から繰り返してきた未知の世 界への旅。
理由もなくそんな危険を冒すはずもな く、当初は食糧や燃料(森林)の枯渇からの移住。その後は戦争による闇雲な領土の拡大が目的のように見えるが、その背景にはやはり増え続ける 人口を支える食糧と土地の確保があった。
本作の目的と同様である。

嵐に見舞われ船が傾き、病人が出て、食 糧が尽きて、くたくたに疲れ果て・・・
過去の冒険は全て過酷極まりなかったに 違いない。
映画の舞台、宇宙の旅でももちろん同様 に過酷であったはずだし、何十年という時間を費やすミッションはまさしく大冒険。
全ての冒険に共通する点は「確証もない のに」という部分。本作でもわずかな希望に挑戦する乗り組み員の強い使命感が描かれるが、それは本当にアメリカ映画? というくらいあっさり していた。
全編に渡り、勇気とか愛とかは極力抑え られている。旅の過酷さや苦労譚も具体的描写は少ない。そのことが余計に終盤での感動を呼ぶ。

宇宙への旅も、いにしえの航海も頼るべ きは星。
人類はいつまでも星の導きで道を決めて 行くんだろうか。それは宇宙に暮らす私たちの根源的な法則か。
未来からのメッセージが時空を超えて やって来るという次元の錯綜と「導き」は
実は昔もあったのかも知れない、とふと 思った。
コロンブスやバスコ・ダ・ガマ、太古の 葦舟の船頭も何かしらの合図を星から風から鳥から受け取って航海を続けたはずだから。

最後に登場する、未来の楽園の描き方が ちょっと笑える…ベタ過ぎませんか?
鑑賞後はハインライン「夏への扉」の読 後感に確かに似ているが、個人的にはこちらの方が良かった。
DVD鑑賞でしたが、この映画は是非劇 場で観たかったです…残念。
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