喜連川風連

インターステラーの喜連川風連のレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.6
徹底したリアリズムに魅せられた。

地球が危機に陥る場合に定番の異星人との遭遇や隕石の危機などが描かれず、食糧危機やそれに伴う軍隊の廃止、疫病、砂漠化など自分たちの将来起こりうる可能性の高い滅亡要因を主に描かれていた。

さらに宇宙空間での映像に対しては音声が入っておらず、空気がない状態で音はきこえないことを表しておりここも丁寧。

2001年宇宙の旅オマージュ多数。

相対性理論や五次元云々の話は専門ではないので分からないが、力づくではなく、理論づくで話を構成していたのがとてもよかった。

それに加えて同じ旋律が繰り返される淡々としたBGMに支えられる絶妙なさじ加減の絶望。
アルマゲドンのようなハッピーエンドを予感させるような雰囲気がないのも好き。

理詰めで舞台を構成しているが、脚本はとても人間くさい。単純悪とはいえない悪が多く描かれてる。

そもそも彼らは人類の希望であるとともに人間にとって住みよい自然を破壊してしまった罪人の一人でもあるというパラドックスを抱えてるからこのような描き方になったのかもしれない。

序盤の消費と発明が繰り返された20世紀が終わり、明るい未来の見えない世相を反映した作品。
それが作中の絶望と重なり雰囲気をだしていた。

それはまるでパックスアメリカーナ無き
現在の落日のアメリカを反映したような映画だった。
喜連川風連

喜連川風連