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インターステラーのNMのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.5
この氷の大地を宇宙服で歩く写真を見ると、はい宇宙の冒険の話ですねと考えると思うが、そうでもない。
宇宙ものとかディストピアものというよりは、壮大なサスペンス、推理、ミステリー、ドラマ。
人間の心理、愛と裏切り、家族、仲間、エゴ、命の奪い合いの話。
命を賭して地球と家族を救おうとする主人公やその娘と、命を賭してまで別のものを守ろうとする人たちの闘争。
字幕で観たが、吹き替えの評判も良いらしい。
全然ストーリーは宇宙宇宙していない。ドラマだし、線と線がつながるところのほうが見どころ。宇宙に興味がなくとも理系でなくとも大丈夫。細かいところはいいので最後まで観てほしい。


砂に覆われ不毛の地と貸した地球。人類はかろうじて生き続けている。
世界は砂に覆われ、農業もままならない。いま最も求められているものは食料。
優秀なエンジニアの主人公のジョセフ・クーパー。しかしこの時代に必要とされるのは農業機械の修理ぐらい。その知性を持て余している。
国家は情報を統制し、教育費に予算は回されない。人々はひたすら食料と農業のことを考えて生きている。

クーパーの子どもたちは、妻の忘れ形見であり何より愛する宝物。
あるときその娘マーフは不自然な重力の異常に気づいた。
一体これは何なのか。
その原因を追ってクーパーは車を走らせていると、マーフとともに謎の組織に捕まってしまう。

そこは極秘に存在していた国家プロジェクトの組織NASA。偶然にもそこを見つけてしまったようだ。
食料問題の解決に向けた研究や、絶滅またはその危惧のある動植物の保護なども進められている。
クーパーの恩師ブランド教授やその娘であるアメリア・ブランドらがいた。

クーパーは優秀だったし秘密を知ってしまったのでここに関わることになる。
優秀な娘マーフも気に入られたようだ。

重力の異常、時間、次元。その謎に迫るには必然的に宇宙へ行くことになる。これまで何人も宇宙へと人を送ってきた。
クーパーはそのメンバーに。リーダー格での抜擢。
教授の娘ブランドもクルーに選ばれた。教授の研究プランAを強力に押し進める一人でもある。
比較的若い人材が選ばれ、ベテラン勢は地上に残ってサポートを続けるようだ。

クーパーは愛する子どもたちや老いた父を残していくことになる。
しかし世界を救えるかもしれない。子どもたちの未来を守れるかもしれない。そして自分自身の能力も活かせる最初で最後のチャンスかもしれない。クーパー自身も未知への希求には抗えない様子。家族は大事だが、そんなことは語られないものの自分のアイデンティティだって大事なはず。
特に娘マーフは大反対し父を見ようともしないが、クーパーは涙をこらえ家を後にする。

何年も宇宙を巡る船。
クーパーは家族ともテレビ電話のようなもので会話する。兄はまだしも、娘マーフは父と離れた悲しさで未だに拗ね電話に出ない。

星から星を巡る船。
目的地で突然トラブルに見舞われる。
結果として、地球からのメッセージは受信できるものの送信ができなくなってしまった。
家族も研究クルーも変わらずメッセージをくれる。時間の進みが違うので地球のみんなはどんどん年を取っていく。
生還を信じる者、そして誰も聞いていないと思い心の内を語りかける者。
そして娘マーフが成人し、ついにメッセージをくれた。
ますます優秀に育ち今では父と同じ研究施設にいた。

研究は続いているもののいまだ食料危機は改善できない。
研究者のなかで本当に父の生還と地球を救えると信じていたのは、実は娘マーフだけのようだ。
クーパーたちは旅を続け「マン博士の星」に向かっていた。
マン博士の消息は不明となっていたが、行ってみると衝撃の発見をした。
さらにプランAの真相や教授の真意が明らかになり、地球の運命は実質マーフに託された。
クーパーは地球への帰還の決意を新たにする。
そして教授の娘ブランドとはいまや固い絆で結ばれた戦友となった。
もしかするとTARS(優秀ロボット君)も。

いざ地球へ。しかしクーパーに最大のピンチが訪れる。
結末へ向かって、それまでのストーリーのピースが一つずつはまっていく。

クーパーの行動は非常にヒーロー的。宇宙に行くことを決めたのも、マン博士の件も、帰還のときも。
マーフちゃんやっぱり天才。信じて追求し続ける人のみが結果を出せると納得させられた。そして幼少期のマーフ役女優がかなり良い。泣きの演技がとても良くつられそうになる。
ロボット君がたびたび最強。この時代ともなるとロボットは人間と同じかそれ以上のパートナーなのだろう。CGではなく実際に製作したものだそうで、優秀な割りに動きがR2D2みたいでかわいい。
宇宙の冒険だからけっこう犠牲者も出るが、仕方ないで済ませず人の死というのがしっかり重いのが良い。
途中なんだか急に愛がどうこう言い出すふわっとしたシーンがあるがあとでしっかり回収があってすっきり。あれどうなったのという件はあとで全て回収がある。
結局悪いのは誰であり、誰にどの程度情状酌量の余地があるのは誰かといった話はもっともっとしっかり観ないと浅いことを言ってしまいそうなのでやめておく。
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