オレオ

インターステラーのオレオのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.0
(※ややネタバレを含むので、未鑑賞の方は注意してください)

クリストファーノーラン監督は本作を作るために、著名な物理学者を招いて考証に考証を重ねたとのこと。その本気具合は、メイキング映像や監督インタビューなどを見れば一目瞭然。
そんな監督の描く多次元空間はもちろん映画として魅力的ですが、作品ではむしろ「愛」というテーマに焦点が置かれています。

そのテーマ性は、物語終盤から顕著になっていきます。
相対性理論を根拠に不可能を説くアン・ハサウェイに、マシューが言い放った「相対性理論はとりあえず一旦置いとこう」という言葉は、ハイレベルな考証を台無しにするように思えて、実際にはこの物語が「愛」の物語であることを、何よりも裏付けているのです。

つまり、人知を超えた超科学の世界で人々に遺されたのはただ「愛」だけである、と。「愛」によって、むしろそれのみが、人々が時空の概念を超越するための唯一の手段であるのです。

この先科学が発展していけば、何千年後になるか分からないけど、もしかしたらいつかは宇宙の謎はすべて解明されるかもしれません。
しかし、こと「愛」という概念について言えば、社会や時代が進むにつれもっと複雑で、より解明不可能なものになっていくことでしょう。
だから、ノーラン監督の最大の功績は、科学的な多次元空間の世界を描いたことよりも、「愛」なるものの存在の証明を、科学を拠り所にして試みたことにあると、評価したいのです。

この点は、ヒーローを描きながらアンチヒロイズムを表現した「ダークナイト」の手法とどこか似ています。
科学を描きながらも、科学の限界と「愛」の無限性を表現したのがこの「インターステラー」という作品なのです。
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