ヘラルドスクエア

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌のヘラルドスクエアのレビュー・感想・評価

3.2
完全にボブ ディランな作品です。
ハマる人はハマる映画。
スコセッシ監督の映画化に続いて、コーエン兄弟さえも、結局ディランさんなんだと思うと、どんだけ偉大なんだよ。

まぁ一応主人公のモデルは、コーエン監督が言うにはディランさんではなくて、当時からディランさんとたむろしていたデイヴ ヴァン ロンクさんだということですけどね。
ちょっと言い訳がましくも思いますが。
そこはもうどっちでもいいんじゃね。

冒頭から、60年代初頭NY グリニッジヴィレッジの路上をうろつく主人公は、まんまディランさんのアルバムジャケットです。
オマージュ半端ない。
ディランさんも、ヒッチハイクでNYまで文無しでやってきて…言わばホームレス。
ヴィレッジで知り合った仲間たちに、次々と居候していたという、今や伝説ですからね。
全くこの映画の主人公そのものです。

ラストシーンはディランさん役がほぼシルエットで登場して、唯一無二の例のだみ声で吐き捨てるように歌詞をぶつけて、そのままエンドタイトルです。
新しい時代の幕開けと、希望を予感させて映画は終わります。

音楽は、70年代、ディランさんの歴史的大規模コンサートツアーで、バンマス兼ギターを務めたTボーン バーネットさんという拘りようです。
ちなみにこちらのコンサートツアーは、スコセッシ監督が2019年にドキュメンタリーにしています。

エンディング曲の選曲はかなりマニアック。
未発表曲を集めたブートレッグシリーズの中から、最初期のレコーディングセッションのデモ「フェアウェル」です。