アニマル泉

0課の女 赤い手錠のアニマル泉のレビュー・感想・評価

0課の女 赤い手錠(1974年製作の映画)
4.5
全てのカットに力が漲るパワフルな野田幸男のマスターピース。真俯瞰、アングルショット、フラッシュモンタージュ。野田幸男は力む、やり過ぎる。零(杉本美樹)は赤いコート、赤い手錠、赤い警察手帳、赤い拳銃、徹底している。赤い手錠は拘束具というよりは飛び道具だ。投げるとロープのように相手の身体に巻きつく、欄間にひっかけると絞殺具になる、首に当たると何故か血が吹き出す。零の赤いコートの下は緑のワンピースだ。
冒頭からのテンポがいい。零の外交官殺し、牢屋収監、仲原義英(郷鍈治)の出所、南雲杏子(岸ひたみ)を輪姦、弟・義明(小原秀明)の顔を見られたので仲原が恋人の高坂正雄(森祐介)を殺害、杏子の誘拐、零が牢屋から出されて事件解決を命じられる。端的に最短コースで本作のテーマに誘う。舞台は立川米軍基地や福生のあたり。輪姦と米軍機が轟音が被るなかモンタージュされる。
素晴らしいのはクライマックスの「風」だ。ゴミ屑が過剰に舞う木枯らしの銃撃戦!官能的だ。全てが過剰で強烈だ。真っ赤な血の風呂に浮かぶ矢野加津子(三原葉子)。「火」も本作の主題になっていて、バーナーの拷問、米軍ハウスの火事、銃撃戦でのガソリン缶の爆破、と事欠かない。零が連絡に使うマッチも面白い。中盤のカーチェイスもしつこい。車が逆さまになり、見た目の逆さショットが鮮やかだ。
杉本は終始無表情だ。対して郷と室田日出男はやり過ぎなのだが、やたらと笑う郷の不気味さは突き抜けてもいる。丹波哲夫の存在感が大きい。
東映、カラー・シネスコ。
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