あなぐらむ

0課の女 赤い手錠のあなぐらむのレビュー・感想・評価

0課の女 赤い手錠(1974年製作の映画)
4.8
シネマヴェーラ渋谷・荒木一郎特集にて。
初見は今はもう無い中野武蔵野ホールの年末二本立、同時上映は「狂い咲きサンダーロード」だった。心に木枯らしが吹いたね。
んで、ビデオとかでさんざ見て、小屋で観るのは三度目?という感じ。

ノワール映画などという物があるなら、これがそうだ。おぞましすぎて笑いさえ浮かぶ暴力血の池地獄。
あらゆる権力を敵に回し、冷ややかに見据える杉本美樹の眼力溢れる美しさは物語が進むにつれいや増し、伝説のクライマックスの強風の中の対決で頂点に達する。
出てくる奴にまともなのが一人もいないのは野田幸男映画の定番と言えるが、誰もがトゥーマッチ、郷えい治に見る演技の極北。
更に一番最後にあの方がどっしりと悪の重鎮ぶりを如何なく発揮してくださるサービスも。

池ちゃん(池玲子)単品の特務課ものでは「黒い牝豹 M」がしょぼくて日活らしくてあれは好きなんだけど、やっぱり美樹ティは半端ないっす。主題歌も最高。助監督が澤井信一郎なのも凄いね。以降の「ゼロ・ウーマン」が全く越えられないグレート・ウォール。それが本作。