デニロ

0課の女 赤い手錠のデニロのネタバレレビュー・内容・結末

0課の女 赤い手錠(1974年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

1974年製作公開。原作篠原とおる。脚本神波史男、松田寛夫。監督野田幸男。公開当時、番組が変わる都度東映の映画館には通っていた筈なのに観ていなかった作品。そのうちキネマ旬報辺りで騒がれ出したのだが観ることは出来なかった。田舎では公開されなかったんだろうか。1975年の春銀座並木座でようやく初めて観ることが出来た。でも、当時、何が面白いのかさっぱり分からぬのでした。47年振りの再見。

同じ原作者の『女囚さそり』が黒だからというわけなのだろう、本作の主人公警視庁0課の刑事零は赤で統一しています。SMプレイの果て友人を殺した友好国の外交官の股間を撃ち抜き殺してしまって座敷牢に押し込められる。その零が何故主人公になるのかというと。

ここからシュールな場面が展開していくのです。 “ヨコスカの玉ころがし” と異名をとるすけこまし集団のボス郷鍈治は出所早々やさぐれ男たちを引き連れ、車中でいちゃついている男女アベックを襲う。何故か車の中で基地反対などと書かれているヘルメットを被る男に娘がお父様を説得するわ、等と縋る。この男活動家らしいのだがヘルメットはいらぬだろう。あるいは1974年活動家は既に揶揄いの対象となり果てていたのだろうか。車から引き摺り降ろされ男はトマトケチャップにされ、娘は凌辱され尽くされる。そして、娘を苦界に売り飛ばす算段でとある売春宿に持ち込むと、そこの女将がその娘を一瞥し、この娘、政権党の次の総理候補丹波哲郎の娘だと見分ける。げっ、と慄くも早く金にしてしまおう、と計画変更。そうして零/杉本美樹の出番が訪れるのです。

杉本美樹。いつもながらのぶっきらぼうな台詞回しで演技らしい演技は何もいたしません。演技だけでなく潜入捜査官もどきで娘を救う使命を帯びているのですがそんな素振りは微塵も見られません。ただ豊満でありながら引き締まった体のライン、形のいいおっぱいが、喧嘩上等!といつもながらに主張しています。好きです。売春宿の女将三原葉子のすっかり崩れてしまったラインなどに篭絡されるはずもありません。

終盤は追い詰められた犯人が御殿場の外国人別荘に侵入し、そこでも若い娘たちをやけくそのように凌辱する。そして、猜疑裏切りで崩壊していくのです。連合赤軍の故事だろうか。

そんな風にして丹波哲郎の娘は救出されるのだが、彼は、凌辱され薬漬けになった娘を、アレはもはやわたしの娘ではない、この事件を知ったものは全員始末せよ、と警視庁の室田日出夫に厳命する。室田日出夫にブチられた杉本美樹は満腔の怒りで以て反撃する。

そして、事前にプレスに連絡した通り報道陣のたむろする警察署の前で娘を解放するのでした。

何が良いのだかいまだによく分からない。劇画的にシュールな展開で権力をおちょくったからだろうか。毒気は感じないのだが。さて、新宿辺りの追っかけシーンで何処かの親父が狼狽えるようにふらふら写っていたのは何だったんだろうか。

映画館Stranger さとみんPresents Stranger 東映スペシャルセレクション「時代劇から任侠映画へ」 にて
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