クロスケ

0課の女 赤い手錠のクロスケのレビュー・感想・評価

0課の女 赤い手錠(1974年製作の映画)
3.7
原作者が篠原とおるということもあって、ヒロインのキャラクター造形などは『女囚さそり』から多くを受け継いでいます。
ただ『さそり』の梶芽衣子が非ポルノ女優であったのに対して、本作の杉本美樹はデビューからポルノという筋金入りの肉体派。濡れ場を含めたハードなシーンにも遠慮がありません。

およそ本物とは思えぬ塗料感満載の真っ赤な血糊が盛大に噴出する描写や手ブレなど構うものかと言わんばかりの手持ちカメラ、些かご都合主義が過ぎる犯人グループや警察の言動など、「もっともらしさ」から敢えて距離を置く姿勢には野田監督の映画への信頼が感じられます。

これは師である石井輝男、同時代を生きた深作欣二、弟子である三池崇史にも見られる職業映画監督の誇り高き伝統です。

吹き荒ぶ風に煽られて、夥しい量の紙屑が乱れ飛ぶ中で繰り広げられるクライマックスの銃撃戦は、見世物としての映画が惜しげもなく露呈されており、その画面の騒々しさに思わず心が躍りました。

個人的には、三原葉子との肉感的な絡みと室田日出男の凄惨な最期も必見だと思っています。
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