さんぞの

子宮に沈めるのさんぞののネタバレレビュー・内容・結末

子宮に沈める(2013年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

こんなにも早く終われと願った映画は無いくらい精神的にやられる。
最初は普通な家庭なんだけどどうしても外れそうな危うさが否めなくて怖かった。特に母親の“女”としての意識が見れる。
中盤から一気に暗転して分かりやすく崩れ始める。途中出てきた女友達とかイライラが特に募る部分。
終盤にかけてスピード感ありながら幸が衰弱で行くのをただ見なくちゃいけない。

構図がずっと隠しカメラみたいで共感させるというより誰かの人生のカットを強制的に見させられている感。定点カメラで動かないから私たちは第三者でもなくこの時間軸に居ない人間のように感じられて「絶対に助けられない場所に居る」ことを突きつけられるようでずっと苦しかった。

映画なのに当たり前のように登場人物が居ないシーンが多くあるし、不思議に思うくらい長くカットを撮ったりするのが印象的だった。セリフや情報の説明は殆ど省いていてだからこそ現実味を帯びていた。画面から得られる情報だけで何が起こっているか考えるしかないから気づいた時がかなり辛い。前のシーンでは出来ていたことが出来なくなっていたり(衰弱)、「ママも一緒」の言葉が前のシーンと全然違う重みをもってしてあの終わり方だから辛い。前まで母親としてやってあげられていたことが最後母性愛情を感じられず淡々と進んでいくのが本当に恐ろしい。なのにも関わらず身籠る彼女とそこに湧き上がる感情を顔を見せずに伝えてくるのがえぐい。

本当にSAN値チェックメンタルズタボロ最初から最後まで不快にしかならない映画。でも見なくてはいけない、と思わせるものがある。実際にあった事件なのを含めてみてほしい。
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