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子宮に沈めるのearのレビュー・感想・評価

子宮に沈める(2013年製作の映画)
3.0
子どもたちの演技…と言っていいのか。
佇まいがただただ圧巻。仕草も行動も自然体で
それだけに母親役の演技してる感が際立つ。
裏声みたいな。上面を撫でるような声。
それだけ残念。
なんだろう?おままごと感がぬぐえないというか。
母親が何千回も言ってるはずの言葉だと思うのに
「言い慣れてない」のがわかる
(当たり前だけど、それをあたかも言い馴染んだ言葉のように発するのが演技だと思うので)たぶん演出の外のことだと思うんだけど

そういうどこか遠慮して取り繕った接し方しかできない母親と、
深夜に訪ねてきて気にする母にかまわず無遠慮な大声で赤子を起こした友人がその後で言う「私いい親になると思うんだよね」。
劇中ではなんとも腹立たしく、母親の疲弊と虚無感のようなものを感じさせるシーンだけれど
実際にはあれもこれもと精一杯手をかけ疲れていく作中の母親よりも
この友人のほうが本当にいい親になってる未来もあるかもしれなく…。観た翌日にそうとも考えられると気づいたとき、最大級の皮肉に感じた。

ラストの結末や行動は、事実と異なるので
これと合わせて実際の事件を語るのは危険に感じる。
映画だけ観ても母親の背景とか心理は(観る側が汲もうとしない限り)
わからない作りだし、それがこの映画のよさだと思う。
マンションの一室で物語が完結してることで、母子が置かれた現状という全体を含めた悲惨さ、その閉塞感を引き立てているから。
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