美月

赤い指の美月のレビュー・感想・評価

赤い指(2010年製作の映画)
4.3

観て良かったなと思える作品でした。

加賀恭一郎シリーズが好きで、この作品の原作の小説も数年前に読んでいたんですが、この『赤い指』はシリーズの中でも特に印象的で。
…というのも読み進めていくのが本当に辛くて。
重苦しくて辛気くさくて、それだけなら他のシリーズとさして大差ないですが、この作品は取り扱っているテーマが重たくて。
家族って難しいですよね。
何度も詰まりながら何とか読みきった思い出があります。
読み終わって涙が止まらなくて、物凄く心が揺さぶられたのに二度は読む気にならない…、私にとって『赤い指』はそんな作品でした。

映画を観て良かったと思います。
文章と映像では受ける印象も違いますね。
小説を読み終わってからこの映画を観るまでの間に祖母の死を経験した私自身の心境の変化もあるのでしょうが、文章で読んでいた時よりも結末を前向きに捉えることができました。
出演されていた役者さんの魂のこもったお芝居のお陰ですね。
文章では拾いきれなかった登場人物の心の機微を感じ取れた気がします。

「理解できなくとも尊重すべき」
その通りだと思いますし、それで良いじゃないかと思えました。大切なことですよね。

東野圭吾作品の中でもかなりヘビーで他人にオススメできるかはちょっと微妙なところですが、私は観て良かったなと思える作品でした。
美月

美月