晴海通り

ノスタルジアの晴海通りのレビュー・感想・評価

ノスタルジア(1983年製作の映画)
3.5
女「忍耐と犠牲…それだけが女の役割?」
男「さぁ…考えたこともなかった」

イタリア語だしストーリーはあってないようなもんだし、先は見えないんだけど不思議と退屈ではない。むしろその芯の座った静けさと色を失った画面が心地よい。様々な水音が耳を浸す。これだけ腰を据えた「芸術映画」を作れる国と時代を羨ましくさえ思う。非常に個人的な映画。

ノスタルジア。郷愁。帰りたくても帰れない。戻りたくとも叶わない。歳を重ねるとそういう場所や時間が増えてくる。そのジリジリと身を焦がすような辛さ。無垢や幼さへの憧憬。かつて日本は上手に老いることができたはずなのに、なぜかそれができなくなっている昨今。

こういう採算度外視した映画が作られる文化の豊かさを思う。“スポンサー”ってすっかり悪い意味になってしまったね。
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