1+1=田んぼの田!
タルコフスキー監督が、自らの姿を投影しながら描く、詩的な内面世界。
かつて母国ロシアを離れ、イタリアで自殺した作曲家を取材するため、トスカーナを訪れた詩人アンドレイ。
余命僅かな彼は、過去の作曲家の足跡を辿りながら、自身の心に問いかけています。
心の内に宿る郷愁。死を目前にして、魂が還る場所を探し求めるアンドレイ。
彼が温泉で出会った、狂人ドメニコが示唆する真理。
「1+1=1」
果たしてアンドレイは満足のいく答えを得られるのでしょうか?
一度観ただけで理解できるワケがない!
ここからはボンクラな自分が、感じたことをツラツラと。
カラーとモノクロを使い分け、静謐な美しいシーンが続きます。
捉えどころのないイメージの一端に、言葉で触れるのが"詩"だとするならば、映像で触れようとしているのが、こちらの作品なのでしょうか。
フレームの外を意識させる様に、カメラが緩慢に動いていきます。
あるいは映画と現実、空想と現実の境界線を、慎重な手付きでなぞっているかのようです。
廃墟、水、風、森、犬、故郷。
映像や音、ひとつひとつに願いが込められているかのごとく…。
目を凝らしなさい、耳を澄ませなさい。
静かに訴えられているような気がしました。
答えは意外とシンプルなのかもしれません。救済は外側じゃなく、既に内側にある。
神様に頼らずとも、謙虚な気持ちで、隠されたものを上手に見つけなさい、ってことでしょうか。
難解です。退屈です。そして息を呑むほど美しい映画です。
確実にまた観ると思います。折に触れて。
…郷愁かあ…。いいですよね、地元って。
久々に帰りたくなっちゃうな…。
まあ、生まれてこの方、一度も地元から離れてないんですけどね…。