alice

グランド・ブダペスト・ホテルのaliceのレビュー・感想・評価

5.0
左右対称の画面に一見すると注意が向くのも仕方ないけれど、その画面の対称性とはべつに、時間軸の垂直性が大事なことを忘れてはいけないだろう。本の中、作家の語り、出会い、又聞き、遺言等々、時代を貫いて様々な人物が「語る」ことがこの作品を構成している。空間は左右対称で、時間は垂直的な一貫性を保っている。そしてそれらを「縦横に」結ぶのが、読者と作家、上司と部下、恋人など、多種多様な愛の形というのだから、見事な構図というほかない。
「ストーリー」とか「メッセージ」とかいう言葉はとても疑わしいと思っているのでそういう点で自分に言えることはないのだが、構成から見てこの映画を嫌うことができる映画好きなんているのだろうかと思うくらいとても面白い。
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