雷かあさん

グランド・ブダペスト・ホテルの雷かあさんのレビュー・感想・評価

3.4
行ったことはないのだけど、旧東ヨーロッパの国々は美しい、という憧れがある。
期待に違わず美しい映画だった。
グランド・ブダペスト・ホテルの内部はもうどこを見てもヨダレが出そう。階段の手すりやロビーなどパーツの美しさに加え、古いという時間の経過が作り出す美しさが何層にも折り重なっている気がする。ホテル行きのトロッコみたいな電車も愛らしいし、マダムDの住まいである古城も素晴らしい。
そうした美しさの中で、ゴージャスな伝説のコンシェルジュ、グスタヴが回想される。
いまはさびれて、金持ちの老人が一人でぽつりぽつりと訪れるホテルになっているという設定も魅力的。古いホテルの中に、これまで訪れた人々の様々な思いが残っているような。幽霊がいるような。
あっちにこっちに走ったり、簡素なそりでスキージャンプ台からジャンプしたり、「トムとジェリー」みたいなありえないシーンが色々あって笑えたりもする。
自分の財産を注ぎ込んでホテルの所有者となった、かつてのベルボーイ、ゼロが「グスタヴは、もう終わってしまった時代を演じていた」と話す最後のシーンで、marvelous grace という言葉が使われているが、これこそこの映画を表すひと言だと思う。
ただ一つ。
ゼロさんはインドとかパキスタン系の移民でしょう?大人になったら白人というのは変じゃない?
雷かあさん

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