星一

グランド・ブダペスト・ホテルの星一のレビュー・感想・評価

3.5
 コメディ小説のようなストーリーで、事件をリアルタイムで追っているようなスピーディな映像と細かく散りばめたユーモアがずっと飽きさせずワクワクしながら見れた映画。

 小説の作者が滞在していたホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」そこのオーナーであるゼロのロビーボーイ時代の話を元にした小説が、オープニングで少女が読み始める「グランド・ブダペスト・ホテル」なのだ。
この映画はその少女が作者の銅像の前で小説を読み始めるところから始まる。

 その始まり方もあり、ほんの少しだけウェスアンダーソンの映画を見て、これがこの人の特徴なのかなと思うのは、やはり、まるで小説の文章を読んでいるようなセリフと展開だ。次々と事件が展開していき、その状況を逐一説明しているようにも見え、ちょっとしゃべりすぎなんじゃない?と思う人も居そうな気がする。
 まだ少ししかこの人の映画は見たことないので偉そうな事は何一つとて言えないんですけど、その点ではこの作風は好みが分かれそうな気はするけど、僕はすごい好きです。

 それになんと言っても映像がユーモアが溢れている。見ていて、本当に飽きがない。
常に映像の中で事件が動き、人が動いている。それに独特な色使いも相まって、この映画の世界観にすごく惹き込まれる。

 正しくこの映画は、小説の映画だなと思いました。これは元にした話、という体でドラマチックにドラマチックに話を描いている。
登場人物たちも個性あふれる曲者ばかり。ただ、その中にもこの主要の人々たちは優しさが溢れていて、なんとも温かい個性的な話なんだろうとも思える。
星一

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