とり

グランド・ブダペスト・ホテルのとりのレビュー・感想・評価

3.7
猛烈に豪華でしかも玄人受けするキャスティング。画面作りのこだわりと相まってどこまでもウェス・アンダーソンワールドでした。

全体の構成が凝ってます。入れ子の仕掛け、何重になってるんだ?4重?始まりと終わりを頂点に中央に進むにつれて深くなっていくのは時間軸だけじゃなく画面そのものも。
アスペクト比がシネスコ、ビスタ、昔の4対3かな?気づくといつの間にか変わってるのが凄いです。
よく見るとわざわざ両端を黒く塗りつぶしてるんですよね。
そしてほぼ全てのカットが観客と正体する形になっていて絵画的。

セリフはまくしたてるし展開もキビキビしてるので非常に疲れます。情報量過多なんですよね。
見るべきものが多すぎる。ストーリーを追うのにそこまで見なくてもいいのかもしれないけど作り込みの気迫に押されて、とにかく見なきゃ!という強迫観念に似たような気分にさせられます。
作品の一番深部にあたるウィレム・デフォーとの追跡劇あたりは早回しで更に密度を高めています。

ウィレム・デフォーがコワモテを活かしていてすごく素敵でした。
あの作風の中で一人滑稽なほどの違和感、悪目立ち。彼だけ別の世界に生きてる感じがうまい。最高です。

エンドロールのコサックはちょっと意味がわからんかった。入れ子=マトリョーシカ?可愛いから付けただけ?まさかな~。
とり

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