Rigel

グランド・ブダペスト・ホテルのRigelのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます


物語は入れ子構造となっており、主な物語は現ホテルのオーナーから語られる。
この入れ子構造が物語での重要事項(≒幻想(一種のノスタルジア)の維持)とリンクしており、美しいと感じた。
香水の描写が多いことも、変化していくノートや、いずれ消えゆくもののメタファーなのだろうか。

個人的に琴線に触れたのはゼロのガールフレンド、アガサの死に方。物語で劇的に殺さず、静かに、ただ死んだ事実のみが伝えられる。(私自身、ゼロの語り口から物語の中で劇的に死ぬのだと思っていたため、意表を突かれた)
妻としての彼女は語られず、ただゼロの中に残り香として在り続けるのだ。

概観として、ホテルの内装がとにかくかわいく、よかった。全体的に景気の良い描写(死に様も!)が多く、元気になる。
動物の死の扱いが少し雑…な気もするが、そこを除けば素晴らしい作品だと思う。
Rigel

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