このレビューはネタバレを含みます
ウェス・アンダーソン作品の舞台は人生のごく限られた時間を過ごすいわば通過点。人々はそこで何かを目撃したり何かを得たりして、またそれぞれの人生を歩んでいく。
まさに「2つの兄弟星のひとときの再会 窓から見える星空を横切る」
これがウェス・アンダーソン監督の人生観であり、物語の真髄なのかしら。
星空は舞台、兄弟星は登場人物たち、窓枠はスクリーン、それを窓の内側から見ているのは観客席の人々。構図にこだわったカットの数々は、窓枠があることを前提としているからでは?
星々がやがて窓枠の外へ退場し、その後もそれぞれの軌道を進んでいくように、客席の観客たちもいずれ劇場から退出し、己の人生へ戻っていく。窓枠の中で邂逅するのは登場人物たちだけではなく、彗星のようなこの映画と出会った観客たちもまた、監督が作った窓枠の中を横切る星のひとつなのかもしれない。
日本語字幕を読んだだけで詩の意味だけを理解しているつもりでいるが、できれば英語をちゃんと聞き取って修辞まで味わえるようになりてえ