ききき

グランド・ブダペスト・ホテルのきききのレビュー・感想・評価

5.0
観たウェス・アンダーソンの映画の中で一番好きかもしれない。

物語はいつものように入れ子構造。
本の著者が話を聞いている相手の想い出の物語。
今は別の国になってしまった中東にある架空の国ズブロフカ共和国の物語。
その時代の跳躍が、インテリアの色使いや画面のアスペクト比で表されている。ミニチュアのようにコミカルに描かれる画面もそれが入れ子構造の思い出話であることを想起させられる。

物語の構造だけでなく、社会主義・ナチズム・戦争という社会変化に翻弄される人々、富豪・移民、体制側・反体制側… と様々な今にもつながる暗い歴史的な問題をもウェス・アンダーソンのちょっとレトロでオシャレポップに描かれているさま天才的センスは脱帽以外の言葉がなかった。

所々に挟まれる詩は献辞を捧げられたシュテファン・ツヴァイクのデビューが叙情詩だったことにあるのだろうか?

ズブロフカ共和国のモデルはツヴァイクの故郷オーストリア=ハンガリー帝国か時代的にポーランド・チェコスロヴァキアあたりかな?
東欧のレトロ感とウェス・アンダーソンのポップな色使いの融合が本当に最高だった〜

オリジナル版は当然最高ですが、本作は日本語吹替版の声も合っていてとても良かったです
ききき

ききき