ジュン

グランド・ブダペスト・ホテルのジュンのレビュー・感想・評価

5.0
わたしは家族の映画がとても好きなので映画を見たらどうしてもキャラクターのこれまでの歴史が気になる。この映画は孤独なキャラクターが生きることに勇敢に闘うコメディなのだけれど、見終えた瞬間わたしは号泣してしまった。なんの涙か全然わからないけれどしばらく泣いていた。はかないから?ゼロという少年が名前どおり存在することを許されていないから?美しいから?全然わからない。前半はまるでメリーゴーランドみたいなみらくるな映画だなと思ってみていたら、ほんとにメリーゴーランドが出てきて思わず声が出そうになった。リヴェットやロメールの作品で魔法にかかるように、わたしが初のウェス・アンダーソン(実はファンタスティック Mr.Foxは借りたけれど見ずに返してしまった)にささげた時間はロメールの魔法にかかるみたいにウェス・アンダーソンの魔法にかかっていた。どのキャラクターも愛すべき特性があって魅力的で、キャラクターたちのこれまでの歴史は悲しいことも楽しいこともあったに違いないと思わされることが節々で感じ取れたけれど、何があってもなくてもウェス・アンダーソンという人は役者の演技に出そうとしないからそれも、はぁーすごいーと思うしかないのであったのです。人類全ての数だけ歴史と思いがあってすべての人が特別で唯一だと思わされもしたすごい映画だった。「林檎と少年」という絵を惜しみなく堂々と見せてくれたのもものすごく好感を持った(こういうのって見せない映画のほうが多い気がするよね)。うまくか書けないけれどとにかく感動した。筋とか伝えたいこととか存在する理由なんてなにもなくていい。生きるチャージができた。今年のベストじゃないかな。ウェス・アンダーソンありがとう感動しました。
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