フジタジュンコ

クラッシュのフジタジュンコのレビュー・感想・評価

クラッシュ(1996年製作の映画)
3.5
公開当時の1996年、まだ私の肌がシャワーの水をはじいていた頃劇場で見て以来、東京フィルメックスにて鑑賞。

当時は9割セックスシーンで特殊性癖の大人たちの映画だということも知らずに、「なんか車の事故が起こる映画みたい」と、車好きの姉に誘われて見に行き、上映後、お互い無言になっていたのですが(ほんと配給は気をつけて広告うってほしい)、もう水もはじかぬ肌のBBAとなった今、多少は理解できるかな?と思ったものの、わかるような、わからないような、クローネンバーグという天才の抱える世界を垣間見られることが、凡人の私には幸せなことなのかもしれません。

この20年でクローネンバーグの他の作品も見たし、現実でもフィクションでも様々なショッキングなものを見たしで、やはり初回ほどのインパクトはなかった。「あれ?こんなんだっけ?」とつい過去をふりかえってしまう。

車がメインなので、クローネンバーグならではの造形の美しいほどの気持ち悪さは控えめで、ただ雨のシーンとかフロントガラスの水滴とか美しすぎて、くそ、こんなんあるから見ちゃうんだよ!!とギリギリしました。
音楽も終始不穏で、フェティシズムの対象であるクルマがひたすら禍々しい。あと、わたくしとしたことが、ホモォ…なシーンを忘れてました。オッサンホモにはあんまり惹かれてなかったのかな、当時。